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顎関節症とは

顎関節症の三大症状は『あごが痛い・・・』『あごが鳴る・・・』 『口が大きく開かない・・・』です。

特に若い女性に急増中の顎関節症ですが、ほっておけば自然に治る軽症のものから仕事はもちろん普段の生活さえままならない深刻な症状に苦しんでいる重症の方もいらっしゃいます。

それでは、原因は何なのでしょうか?いったいなぜこんなにも増えているのでしょうか?

それは、生活習慣や姿勢 ・食べ物など、人間の体全体を見直すことが必要であるという警鐘が含まれている現象なのかもしれません。

まずは“顎関節症”とはどんなものなのかみていきましょう。

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《 顎関節症の定義 》

〔顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節(雑)音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、関節包・靱帯障害、関節円盤障害、変形性関節症などが含まれている〕(日本顎関節学会「顎関節症の定義」)

簡単に言うと、あごの関節(顎関節)周辺に何らかの異常があるということです。

『あごが痛い』 『あごが鳴る』 『口が開けづらい』などが主な症状である慢性的な疾患で、原因はいくつかあり状態も異なるが、まとめて“顎関節症”と呼ぶ・・・ということ。


《軽症のものから重症まで状態は様々》

『硬いものを食べたら、あごが痛くなったがしばらくしたら治った』という程度の軽い症状を含めると、日本人の二人に一人は何らかのあごの異常の経験があるのではないかとも言われます。

このように放っておいても自然に治るものもあり、必ず悪化していくという疾患ではありません。

患部を安静にする・ 問題のある生活習慣を改善する ・薬を服用するなどの治療で80%の人は良くなっているそうです。

重症になると手術が必要となったり、症状もめまいや痛みなど全身に及び、開口障害により食事の摂取が困難になったり精神的にも影響を受けるなど、日常生活に支障をきたすほどの症状に苦しむ患者さんもいます。


《20~30代がピーク ・ 女性に多い》

顎関節症の患者は、ここ十数年で15倍にも増加したとも言われます。

子供~高齢者まで幅広くみられる病気ですが、年齢では10代半ばから増え始め20~30代がピーク。

女性は男性の2~3倍の来院数だそうです。

なぜ女性が多いのかはよくわかっていませんが、女性の方が筋肉の緊張やストレスに対して感受性が高く、痛みに敏感で健康に対する関心が高い、男性よりも骨格や靱帯が弱い、女性ホルモンに関係があるなどの説があります。

年齢的には、10代半ば頃から増加するのは歯や骨格が成長し大人になる時期であること。

精神的にも思春期であり、社会的な生活も複雑になるため。

また30代以降は来院患者数が減少するのは、顎関節の変形はあってもそれに慣れて、うまく付き合えるようになる為などといわれる。

しかし、近年患者数が増加していることを考えると、最近の若年層に顕著な食習慣・ 生活習慣などにも関連があると考えられるのではないでしょうか。



顎関節症の症状

《 代表的な症状 》

顎関節症の主な症状は5つあり、これらの症状が1つ、もしくはいくつか重なって現れます。

①あごが痛む
顎関節および周辺の頬やこめかみの痛み。

口の開け閉め、食べ物を噛むときなど、あごを動かした時に痛むのが特徴。

あごの動きに関係なく痛む場合は他の病気の可能性が高い。


②口が大きく開けられない(開口障害)
正常な人は縦に指が3本分入る(40~50mm)が、指が2本程度(30mm)、もしくはそれ以下しか入らない。

あごを動かすと痛むので無意識に動きを抑えてしまっている場合と、顎関節の異常で口が大きく開けられない場合とがある。

いきなり口が開かなくなる場合も、徐々に開きづらくなっていく場合もある。


③あごを動かすと音がする(関節雑音)
あごを動かしたときに耳の前あたりで「カクカク」音がする。

「ジャリジャリ」「ミシミシ」といった音の場合もある。

症状が音だけの場合は、顎関節症予備軍と言えるが治療は必要ないと思われる。


④噛み合わせに違和感がある
あごの関節や筋肉に問題があると、あごの動きに変化が生じて噛み合わせが変わることがある。

急に噛み合せが変わったように感じるときは顎関節症の疑いがある。

⑤口を完全に閉じることができない
非常に稀だが、あごの関節内の構造の異常のため上下の歯列の間に隙間ができて、口が完全に閉じられなくなる場合がある。


《その他の症状 》

代表的な症状以外にも、顎周辺だけでなく全身の様々な部位に症状が現れることもあります。

『頭痛』『首や肩・背中の痛み』 『腰痛』 『肩こりなどの全身におよぶ痛み』『顎関節部やその周辺の痛み』 『耳の痛み』 『耳鳴り』『耳が詰まった感じ』 『難聴』 『めまい』 『眼の疲れ』『充血』 『流涙』 『歯の痛み』 『舌の痛み』『味覚の異常』 『口の乾燥感』 『嚥下困難』 『呼吸困難』『四肢のしびれ』


《症状が似ている病気》

顎周辺に痛みがあっても必ずしも顎関節症とは限りません。よく似た症状は別の病気にもみられます。


【顔に痛みを感じる病気】

『発作性神経痛(舌咽神経痛、三叉神経痛)』

『歯や歯周組織・舌など口の中の病気』

『耳・鼻・喉・唾液線の病気』

『慢性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛)』

『症候性頭痛(脳腫瘍、脳内出血など)』

『シェーグレン症候群』 『慢性関節リウマチ』

『全身性紅斑性狼瘡』『線維筋痛症』『通風』

『甲状腺機能亢進症』 『心因性疼痛』『神経因性疼痛』 など

【口が開けづらい病気】

『親知らずの炎症』

『顎関節の骨折・腫瘍・脱臼・感染症・炎症』

『顎の筋肉の萎縮・外傷・炎症・拘縮』

『顎に関係する神経の腫瘍・炎症・ウィルス感染症』など


顎関節症チェック

一般的な顎関節症が分かる12のチェック を紹介します。

① 顎が大きく開けたとき、左右で開けにくい方の顎がありますか?

② 鏡を見て、顎を大きくゆっくり開けてから閉じてください。その時に顎が左右に揺れていますか?

③ 顎を開けたり閉じたりする時に「カクッ」とした音や「ピキッ」とした音がしますか?

④ 鏡の前で、大きく舌を出してみてください。舌はまっすぐ出ていますか?

⑤ 顔を見て、左右の眼のラインと口角(口の終わり)のラインが並行ですか?

⑥ 口を開閉するとき顎に痛みを感じますか?

⑦ 咬むと顎が痛いですか?

⑧ 口が開かないことがありますか?

⑨ 耳の穴の中に指を入れて顎を開閉してください。その時に痛みを感じますか?

⑩ こめかみを押してみてください。痛みがありますか?

⑪ ほほ骨の下を押して痛みますか?

⑫ 朝起きた時に顎がスムーズに開きますか?


いかがでしたか?

顎関節症は気付きにくく、慢性化しやすい障害です。

慢性化すると治りにくいだけでなく、色々な症状が出てくることがありますので、しっかりとチェックしましょう!

上記の質問のうち・・・

イエスが、2つ以上あると、顎関節症になりかけている可能性があります。

イエスが、4つ以上あると、顎関節症になっているでしょう。

イエスが、6つ以上ある方は、顎に大きな問題が起こっていると考えられます。



※この質問は、あくまでも目安になります。自分勝手な判断は危険ですので、顎関節症専門の病院で診てもらいましょう。


顎関節症のタイプ

《顎関節症の4つのタイプ》

顎関節症のタイプはその障害のある部分によっていくつかに分けられています。(日本顎関節学会による)

1,筋肉の障害によって起こるタイプ(Ⅰ型)
2,関節包・靱帯の障害によって起こるタイプ(Ⅱ型)
3,関節円板の障害によって起こるタイプ(Ⅲ型)
4,変形性関節症によって起こるタイプ(Ⅳ型)


それぞれを詳しく説明します。

1,筋肉の障害によって起こるタイプ(Ⅰ型)

筋肉が何らかの原因で緊張して硬くなり血液の循環が悪くなるために痛みを生じる。

咬筋・ 側頭筋 ・ 内側翼突筋 ・外側翼突筋からなる咀嚼筋を中心に痛むので頬やこめかみのあたりが痛むが、痛みは鈍く部位を特定しにくい。

また、押すと強く痛むトリガーポイントというコリコリしたしこりができることがある。

頭部・ 首 ・ 肩など離れたところに関連痛が起こる。


2,関節包・靱帯の障害によって起こるタイプ(Ⅱ型)

顎関節の関節包みや靱帯などの線維組織に力が加わって捻挫を起したようになり痛みを生じる。

関節包炎 ・ 滑膜炎などを起し、あごを動かすと顎関節部が痛む。


3,関節円板の障害によって起こるタイプ(Ⅲ型)

関節円板が本来の位置から前にずれたままになってしまう状態のことで『関節円板前方転位』という。

【クリック(カクカク音)】

口を閉じたとき、本来は下顎窩の中にあるべき関節円板が、下顎窩の前方にズレて出てしまっている。

口を開けようとすると回転して前にすべり出してきた下顎頭が関節円板の下に強引にもぐり込み、上に乗せたときに「カクン」と音が出る(クリック)。

口を閉じるときに下顎頭から関節円板が外れるときも同様に音が出る。

(口を開けたときには関節円板が本来の位置に戻るので「復位を伴う関節円板前方転位」という)


【ロック(クローズド・ロック・口が大きく開けられない)】

さらに進むと、口を開けようとするとき、前に出ようとする下顎頭が関節円板の下にもぐり込めなくなり関節円板を上に乗せられなくなる。

こうなると関節円板が邪魔して下顎頭が下顎窩の前に出られなくなるので、口が大きく開けられなくなる。(クリック音はしない)

(口を開けたときも関節円板が本来の位置に戻らないので「復位を伴わない関節円板前方転位」という)

※滑膜炎と長期の開口障害により滑膜と関節円板の癒着を起す場合がある。


4,変形性関節症によって起こるタイプ(Ⅳ型)

顎関節に繰り返し強い負荷がかけられたり、長い間続いたときに下顎頭の表面が吸収されてその回りに新しい骨がつくられることがある。

口を開け閉めすると「ゴリゴリ」「ジャリジャリ」といった音がして、滑膜炎など周囲の炎症を伴うと顎関節が痛む。

骨の変形は必ずしも異常な変化ではなく無症状の場合もあり、またある程度進むととまる場合が多い。

※滑膜炎と長期の開口障害により滑膜と関節円板の癒着を起す場合がある。


《 複数のタイプを持つ患者が多い》

顎関節症のタイプはこのように4つに分けられていますが、実際には『筋肉の障害によるタイプ』と『関節円板の障害によるタイプ』といったように、複数のタイプにまたがっていることが多いそうです。


顎関節症になる原因

《 噛み合わせだけが原因ではない》

かつては顎関節症の原因は噛み合わせの異常にあると言われていましたが、現在では顎関節症の原因となる因子はいくつかあり、それらが積み重なってある耐久限界を超えたときに発症する・・・と言われています。

但しなりにくい人、なりやすい人がいて耐久限界にも個人差がありますので、くいしばりや歯ぎしり偏咀嚼などの生活習慣の中の要因の積み重ねが“その人の”耐久限界を超えたときに発症するということになるでしょうか。


《 顎関節症の様々な原因》

1,ブラキシズム


「くいしばり」「歯ぎしり」「歯をカチカチならす」などのことをブラキシズムといい、筋肉を緊張させて顎関節に過度の負担をかけダメージを与える。

最も大きな原因と言われてます。

くいしばり・・・肉体労働や仕事などに集中しているとき無意識に行っている。就寝中にも起こる。

歯ぎしり・・・音のしない歯ぎしりもある。


2,ストレス

仕事や家庭、人間関係などのストレス、その他精神的な緊張は、筋肉を緊張させてくいしばりを起こしたり、夜間の歯ぎしりを起したりとブラキシズムに影響します。


3,偏咀嚼

左右どちらか一方でばかり噛む癖を偏咀嚼といい、片側だけに多くの負担をかけることになり、発症の原因になります。


4,顎や筋肉に負担をかける癖や習慣

うつ伏せ寝、頬杖をつく癖、あごの下に電話をはさむ、猫背の姿勢など。


5,悪い噛み合わせ

噛みあわせについては様々論議があり、現在では多くの原因の中の一つと考えられ、偏咀嚼やブラキシズムの原因として関連していると言われています。

(不良な歯列矯正や歯科治療により噛みあわせの悪さを招くこともある)


6,その他

歯の治療などで大きく口を開けた、顎や頸部頭などを強く打って顎関節や靱帯を損傷した。


などが、あげられています。


【顎関節症を誘発するきっかけは色々】

日常の様々なことがきっかけとなって顎関節症を誘発します。
・何かに熱中したり、緊張して強く食いしばる。
・会社で導入したてのパソコンを覚えようと熱中していた。
・長い会議のあった日は夕方から口が開けづらくなる。
・休日に1日テニスをしたあとは顎がカクカク鳴る。
・何か特別な行事があると緊張して食いしばる。
・オフィスの冷房がキツクて歯を食いしばる。
・仕事で悪い姿勢を長時間続けていた。
・仕事のストレスで夜よく眠れない。
・片側の歯が悪いため反対の歯だけで食べ物を噛む癖がある。など


《 現代人は顎が退化している?》

同じ顎関節症の原因となる生活習慣を行っていても、顎関節症になりやすい人となりにくい人がいます。

また、近年に顎関節症は増加しており、それも若い女性など若年層に増えています。

これには最近の柔らかい食べ物の多い食生活から『噛む力』が弱くなっていることが関係しているのではないかと言われています。

伝統的な日本食に比べ、ハンバーグやスパゲティといった現代人の好む食事は、噛む力も噛む回数も少なくてすむので、顎が運動不足になり筋肉が衰えてしまっているのです。

そのため顎関節の動きをしっかり支えられることができず、顎関節症を発症しやすい素地を作ってしまっているわけです。

顎の退化は顎だけの問題にはとどまりません。

顎の運動不足では脳への血流量も少なくなり集中力も落ち、顎が弱いときちんと噛みしめることができないので力が出ないし平衡感覚も低下、身体能力に大きく影響するのです。

また子供の頃からこういった生活習慣を続けるということは骨格や筋肉の発達にも影響があると思われます。

顎を退化させないよう生活習慣を見直すことこそが必要なのかもしれません。

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子供の顎関節症

最近、顎関節症になっている子供が増えているといわれてます。

学校の検診で、顎の関節の検査が行われるようになってから、この問題が指摘されるようになりました。

原因としては、やはり姿勢の悪さ・受験などによるストレスがあるようです。

防止するには、まず日常生活の改善が重要になってくるでしょう。

また、子供の顎関節症の増加は、永久歯が生えそろう12歳前後のうちから、大人と変わらない食事を取ることも原因とする声があります。

この頃は、子供にとってはまだ顎の成長期なのに、大人と変わらないような食事をさせる事で噛むときなどに、顎に過度な負担をかける事により、これが顎関節症を引き起こすというのです。

最近、子供の顎の退化を問題とする向きもありますが、顎関節症の増加はこれも関わりがあるようです。

子供の虫歯は減る傾向にあるようですが、一方で噛み合わせの異常で親が子供を歯科に連れてくるケースが増えているといわれています。

また、母乳で育った子供には悪い噛み合わせが少なく、顎関節症の発症率も低いと指摘する声もあります。

これは、母乳を飲むのに、ある程度強く吸う必要があるため、これが顎や筋肉を発達させるのではと言われます。

子供の顎関節症は、受験などによるストレス・学校生活・食生活など、色々なものが重なり合って起こるケースが多いようです。

やはり、まず食生活に気を付けるのが第一でしょう。

また、受験勉強でも、こまめに休ませること。

適度な運動をさせるなどして、ストレスを溜めさせないようにすることです。

なかなか改善されない場合、早めに専門医に相談し、カウンセリングも含めて適切な処置を仰ぐようにしましょう。

顎関節症の検査(何科にいけばいいの? )

原因が分かったら、“治療”ですよね。

でも、“顎関節症の治療”の前に、“検査”についてみていきましょう。

顎の関節が痛んだり口が開けづらいなどの症状があった場合、まずは自分で顎に負担をかけないなど注意をして過ごしてみましょう。

しかし数日たっても治らないような場合は病院で診察を受けましょう。


《 何科にいけばいいの? 》

顎関節症の場合、歯科での治療が一般的。

顎だけでなく、耳や顔に痛みが出るので耳鼻科や整形外科などにかかったとしても、顎関節症の疑いがある場合は歯科の受診をすすめてくれるようです。

治療をしばらく続けても症状が『改善しない』『悪化する』といったような場合は、さらに専門医を紹介してもらうのがよいでしょう。

顎関節症以外の他の病気やケガなどで並行して病院にかかる場合は、問題がおきないようにそれぞれの医師に治療の内容を伝える必要があります。

例えば虫歯の治療など口を大きく開けての長時間の治療で症状が悪化する場合がありますし、むち打ち症で頸椎牽引をすると顎関節を痛めることも。

また全身麻酔の手術の際の気管へのチューブ挿入や出産など、注意が必要なことがあるからです。

《 検査 》

次のような検査を行い、よく似た症状の病気と識別するなどして診断されます。

1,問診・視診・触診

問診で診断がつく場合も多く重要。

・現在の健康状態、既往歴、アレルギーの有無、常用薬物、関節や筋肉の状態など
・ どんな症状があるのか、痛みの部位、どんな痛みか、持続時間、開口状態、雑音
・ どんなときに症状が出るか
・ 生活習慣 食いしばりや歯ぎしり、偏咀嚼はあるか、頭痛や肩こり、寝つきはよいか、ストレスはあるか


2,視診

・ 正しい姿勢をしているか 猫背などではないか
・ 顔貌は左右対称か 咬筋肥大はないか
・ 歯の磨耗、頬粘膜や舌に歯の圧痕はないか、かみあわせの異常はないか


3,触診

患者に触って、顔や首・ 肩などの筋肉の緊張や圧痛の状態、顎関節の圧痛・ 動き ・雑音などを調べる。


4,開口量の検査

開口量、顎が前方や側方に動くかなどを調べる。


5,画像診断

X線で関節の変形などを調べる。

場合によってはMRI・ 関節腔造影検査などを行って関節障害などを調べる。


6,その他

必要に応じて次のような検査が行われる場合もある。

・筋電図検査
・関節鏡視検査
・顎運動検査
・咬合力検査
・心理状態や性格を調べる検査


顎関節症の治療

《 顎関節症の治療方法 》

病院での治療は、原因を解消する治療と痛みなどの症状を緩和する治療を症状に応じて組み合わせて行われます。

1,認知行動療法

ブラキシズムや癖など顎関節症の原因となる悪習慣や、その背景をさぐり本人に自覚させ、それらを取り除くようにさせる。

2,物理療法

痛みの軽減のために患部を温めたり冷やしたりする。

3,運動療法

開口や顎を動かす訓練をして口がよく開くようにする。

4,スプリント療法

スプリントという歯列を覆う装具を装着することで顎関節や筋肉への負担を軽くして歯ぎしりや食いしばりの害を緩和する。

5,薬物療法

痛みが強い場合に薬で炎症を鎮めたり、筋肉が痛みで固まっている場合に筋弛緩剤を用いたりする。


また夜間の歯ぎしりや食いしばりを抑えるために入眠剤、痛みの軽減のために抗不安薬、抗うつ薬を使用する場合もある。

6,外科療法

その他の治療で症状が改善されない場合には、外科療法が行われる場合もある。


関節内に強い炎症がある場合に針をさして関節内部の物質を洗い流す『関節腔内洗浄療法』、関節内で関節円板と骨の癒着がある場合にそれをはがす『関節鏡手術』などがある。

※咬合治療

かみ合わせが顎関節症の原因なのか結果なのか、その関係はまだわかっていないとされている。


かみあわせの異常が原因となっていてそれを取り除くことにより症状の改善が見込める場合には、初期段階ではごく簡単な噛みあわせの治療を行い、治療の最後に最終的な噛みあわせの治療を行う。

《治療はセルフケアが中心》

顎関節症は生活習慣病的な部分が大きいため、患者が自分で行う自宅療法(=セルフケア)が治療の中心となります。


顎関節症を起している歯ぎしりや偏咀嚼などの悪習癖やそれを誘発する背景などを把握してそれらを取り除くことをしなければ根本的な治療にはならないともいえます。


それは症状の改善とともに再発の予防にもなります。

【主なセルフケア】

※歯を接触させない

くいしばりをしないようにする。

上下の歯が接触するのは物を噛むときだけで、通常時は歯を接触させないようにして余計な負担をかけないようにする。

「唇を閉じ、上下の歯を離し、顔の筋肉の力を抜く」(TMDマントラ-顎関節症呪文)

※硬いものは食べない
痛みや口が開けづらい症状がある場合は、しばらくは硬いものを食べないよう注意する。

※口を大きく開けない
無理に口を大きく開けない。食べ物を小さく切ったり、会話中、あくびや歯科治療などにも注意。

※冷湿布・ 温湿布
痛みの急性期には冷湿布が有効。

あごを動かさずに冷やしすぎると血液循環が悪くなるので注意。

慢性的な痛みには温湿布をすると筋肉の緊張や痛みが緩和される。

※マッサージ
あごの筋肉が痛むときはマッサージをすると血行がよくなり痛みが軽減される。

弱っている筋肉を痛めないように強く揉みすぎない。

※よい姿勢を保つ
立つ姿勢や座る姿勢を正しく。

猫背やあごを突き出す姿勢になっていないか注意する。

同じ姿勢を長時間続けないようにし、ときどきストレッチなどをする。

※うつ伏せ寝をしない
うつ伏せは顎や首の筋肉に負担がかかるので、できるだけ仰向けで寝るようにする。

枕も高いものは避ける。

※あごの運動をする
関節や筋肉の痛みが緩和されたら、少しずつ顎の運動を行う。

口の開閉や顎を横に動かしたり、首や肩のストレッチをする。

医師に相談して顎の筋肉エクササイズなどを症状をみながら行う。(関節可動化訓練、筋伸展訓練、筋負荷訓練、咀嚼訓練など)

※リラクゼーション
緊張をほぐし、顎に負担をかけないようにする。

仕事などで長時間緊張が続くような場合は、ときどき緊張を解いて筋肉を休ませるようにする。

意識的に筋肉の力を抜いていくリラクゼーションなどを行うのもよい。
また過度なストレスがかからないようにする。

※全身運動
ウォーキングや水泳などの全身運動をする。

基礎体力の維持や全身の血行をよくする他に、気分転換やストレス解消の効果もある。

※あごに負担をかけない生活
歯を食いしばるスポーツ、管楽器の演奏、口を大きく開ける発声練習などにも注意。

頬杖をつかない、食べ物は両奥歯で噛む、など顎に負担をかけないようにする。

顎関節の構造と働き

《 顎関節の構造 》

顎関節は左右に一つずつあり、頭の骨のくぼみに下顎の骨突き出た部分が

はまり込むような構造になっています。

顎を動かした時に、よく動く両耳の前の部分が顎関節です。

頭の骨(側頭骨)のくぼみは、耳のすぐ前あたりにある下顎窩(かがくか)というへこみとその前にある関節隆起という出っ張りから成っています。

そのくぼみに、下顎の骨の突き出た部分、下顎頭(かがくとう)がはまり込んでいます。

下顎窩と下顎頭の間には、関節円板というクッションの役目をする組織があり、骨同士が直接こすれ合わないようになっています。

関節円板は、コラーゲンという膠原繊維でできている野球帽のつばを狭くしたような帯状のもので、その端は下顎頭の内と外に連結されていますが、前後にはあまり強く連結されていません。

下顎窩のくぼみと下顎頭の間にはさまれるように位置し、顎の動きにつれて下顎頭の内と外の連結部分を軸にして前後に回転し、下顎頭の先と一緒に動いて口の開閉時の圧力を吸収しスムーズに動けるようにする働きをしています。

これらの関節組織は関節包という線維性の膜に取り巻かれており、関節包の内面には滑膜から滑液が分泌されていて、潤滑油の働きをするとともに関節円板や骨の表面の線維軟骨に栄養を運んでいます。

関節包の外側には外側靱帯があり、上下の骨を連結しています。


《 顎を動かす筋肉 》

・開口筋
口を開けるのに使う筋肉。
首の前(顎の下)にある前頸筋(舌骨上筋・舌骨下筋・胸鎖乳突筋)


・ 閉口筋(咀嚼筋)
食べ物を噛むのに使う筋肉。
咬筋・側頭筋・外側翼突筋・内側翼突筋


・ 頸筋
食べ物を食いちぎったり、しっかりとらえるために使う筋肉。
前頸筋(舌骨上筋・舌骨下筋・胸鎖乳突筋)
後頸筋(僧帽筋など)


《 顎関節のうごき 》

【口を開けるとき】

口を開けようとすると下顎頭は回転し、下顎窩から外れて前に滑り出す。

関節円板も下顎頭の上に乗って一緒に前に移動する。

※下顎頭が下顎窩から外れて前に移動することにより、口を大きく開けることができる


【口を閉めるとき】

下顎頭は後ろに移動し、下顎窩の中に収まる。

関節円板も一緒に後ろに移動して、元の位置に戻る。


【食べ物を咀嚼するとき】

下顎を左右に動かす必要があるため、左右のどちらか一方だけ

下顎頭が前に滑り出し、この連続で食べ物を噛む。


《 関節円板はズレやすい 》

関節円板は、前後の連結がゆるやかになっているため、前後に動きやすく、

関節円板の後部組織が伸びやすい構造になっています。

関節円板が前後に動いているうちに後部組織が伸びてしまい、

関節円板が前方にズレたままになってしまうと、口を開け閉めする時に

『カクカク』音がしたり、口が開けずらくなる症状が出てきます。


構造面から考えた顎関節症

一般論の中でも、顎関節症と悪い姿勢の関連が指摘されていますが、構造面から考える時には、顎だけでなく全身的な視点で顎関節症を見ていきましょう。


《 全身のバランスに注目 》

丸太を縦にキチンと積み重ねると、それだけで勝手に立っていられるように、本来は人間の身体はほぼ骨格だけで姿勢を支える事ができるようになっています。

しかし骨格構造が傾いていると、身体が倒れてしまわないためには常に筋肉が緊張して姿勢を支える必要があり、長時間の筋肉の過緊張が血行不良などを引き起こし様々な障害を誘発します。

顎関節症の場合も、骨格構造の問題が筋肉の過緊張や顎の歪みを引き起こし、顎関節症の原因と言われる、食いしばりや歯ぎしり・偏咀嚼・悪い噛み合わせなどを起こしていると考えられます。

例えば、骨盤が左にズレていると、バランスをとるために頭は反対側に傾きます。

そして、頭が傾いている側はアゴの噛み込みが強くなります。

あご痛と一緒に肩こりや、左右の肩や腰の高さの違いなどを訴える人は多いです。

なぜ食いしばりをしてしまうのか、噛み合わせが悪くなってしまうのか、問題は顎だけにあるのではなく、その根本的な問題は全身のバランスに注目して考える必要があります。

『構造のバランスをとる』ことによって、体調を改善することができ、引き起こされる顎関節症の症状の軽快が期待できると考えられます。


《 よい姿勢とウォーキングのススメ 》

近年は、食習慣や生活習慣の変化のため、顎だけでなく全身が退化しつつあると言われています。

歩かない座る生活のために、正しい姿勢を保つための基礎体力が低下しています。

生活環境を昔の生活に戻してしまうことはできませんが、食生活や運動など、できる範囲での努力をすることは大切です。

正しく立ち方・座り方、無理なくできる運動としてウォーキングがおススメです。

一日30分程度でもいいので、正しい姿勢で無理のない速度で歩く。

正しい姿勢を保つための筋力や基礎体力・心肺機能の維持。

全身の血行もよくなり、気分転換にもなります。

顎関節症に限らず、体調全般を整え健康を保つことに効果があります。

顎関節症の治療費は?

顎関節症の治療費は、保険が適用する治療と適用しない治療とがある。

たとえ保険が適用されても、手術などの場合は一体いくらぐらいかかるのでしょうか?

顎関節症の治療法ごとに大まかな治療費となっています。

健康保険が適用できる治療法は自己負担を3割と計算しています。

掲載している治療費は一回の治療費の値段であって、顎関節症が治るまでの治療費ではありません。

また、各病院などにより費用が違いますので、参考程度にして下さい。


【歯の治療】

歯を削る・高くする
:削るだけなら、数百円~2,000円前後

矯正:70万円~150万円


【顎への治療】

マウスピースの装着
:5,000円~10,000円ぐらい

整体・マッサージ等:4,000円~8,000円ぐらい

ホットパック:数百円~2,000円前後

手術:40,000円~80,000円ぐらい


【顎以外の部分の治療】

痛み止め(鎮痛剤)
:数百円~1,000円前後

筋弛緩剤:数百円~1,000円前後

首や背骨などの整体:4,000円~8,000円前後


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